2018/03/18

焼けぼっくりに火をつけたトランプ

トランプ大統領は、離婚歴を見る限り、焼けぼっくりに火をつける趣味はないようだけど、図らずも、200年の歴史を持つアメリカの女性政治運動という焼けぼっくりに火をつけてしまったようだ。


アメリカの女性が立ち上がった歴史は古い。1800年代の初期から、女性、特に既婚女性の財産所有権に関するさまざまの法律が州ごとに制定され、1900年までにはすべての州で既婚女性の独立した財産所有権を全面的に認める法律が制定された。1920年には、国レベルで女性参政権を憲法改正条項として成立させ、禁酒法まで成立させた。

以外だったのは、最初に既婚女性の独立した財産権を認める法律が制定さられたのはミシシッピー州だった(1839年)ことである。しかも、それはチカソー(Chickasaw)というアメリカ・インディアンの部族の慣習に基づいて妻の独立した財産権を主張した女性が裁判で勝った(1837年)のがきっかけとなったというのである。

1848年7月にニューヨーク州のセネカフォールズ市で女性解放運動の大会が開かれ、「所感の宣言」(The Declaration of Sentiments)という題で、女性差別とその不当性を糾弾し、断固、差別の撤廃を求める宣言文が書かれた。そこには、アメリカの女性、特に既婚女性の法律上の扱いは、死人と同じ、つまり、市民としての権利が一切ない、奴隷と大差ない存在であったことが指摘されている。この集会に先立って、同年の4月に制定されたニューヨーク州の既婚女性の財産所有権に関する法律の文言は、その後、他の州でも手本となって踏襲されている。

南北戦争前後(19世紀後半)に書かれた小説、『若草物語』や『風と共に去りぬ』などを読むと、家庭生活を仕切っていたのは女性であったことは明らかだが、妻の財産所有権が確立される前は、いったん事がこじれたら、妻には法的に主張できる権利は一切なかった。持参金も実家からの遺産も妻が自分で稼いだお金も含め、一家の財産を管理する法的権限はすべて夫が握っていた。

女性に対する蔑視と差別を糾弾した「所感の宣言」(下記参照)は、アメリカ独立宣言の文章とその構成を最大限にコピペして書かれたもので、植民地扱いされたアメリカ人がイギリスの国王に対して感じた義憤を表現した独立宣言との類似性を強調することによって、男の都合のいいように作られ、女に対する蔑視と差別を維持してきた男中心の社会に対して女たちが感じてきた義憤の正当性を訴えることに成功している。アメリカの女性解放運動は、奴隷解放運動と並行して、この義憤をエネルギー源として、女性に対するすべての差別と蔑視を消滅させるべく、粘り強く進められてきた運動である。

20世紀になると、財産権を獲得した女たちは、産業革命後の社会で、男と同じ教育を受ける機会が増え、工場や事務所で働く機会も増えて、女性の参政権が次の目標になったのは自然の成り行きであった。女の知らないところで制定された法律に女が従わされるというのはアメリカの建国の精神に反する、男たちには、奴隷だった黒人も含めて、馬鹿でもチョンでも、アメリカ生まれかどうかに関係なく選挙権を与えておいて、白人でも黒人でも女には政治に参加する権利を与えないなどというのは女性蔑視もはなはだしい、と思うのは当然だった。しかし、女性の政治家の数を見る限り、女性の参政権が確立されてからほぼ百年たった今日でも、女性の参政権が十分に活用されてきたとはいいがたい。それが今変わろうとしているのだ。

2017年現在、上院下院あわせて女性議員は20%弱である。しかも、民主党と共和党に分けると3対1で民主党の女性議員の方が圧倒的に多い(ここにも、白人男性主導という共和党の体質が現れている)。

百年前、禁酒運動が男の横暴を苦々しく思っていた多くの女性を女性主導の政治運動に巻き込むことに大いに貢献した。その背景には、勤勉・禁欲的なプロテスタントの戒律と相容れないカトリック系(アイルランド系、南欧系)の移民が増えて、社会の乱れ、特に男たちの暴力や自堕落の原因として飲酒が槍玉にあげられたという社会宗教的背景と、機械化が浸透した結果、危険な機械や道具を扱う作業では、機械装置の安全な操作のために規律正しく働く、しらふの労働者が必要とされていたという職場の変化もあった。

プロテスタントとカトリックの対立は、田舎と都会の対立、古くからの移民と新しい移民との対立でもあった。この対立は、現在でも、原理主義系の白人プロテスタントの80%前後が共和党支持、大都市は民主党支持という形で引き継がれているが、それを超えて、今、女性差別、蔑視、女性に対する暴力を放置あるいは率先して継続させてきた勢力の顔が、トランプ大統領とその支持者たちという形で視覚化されるに至って、200年前に始まった女性の政治運動に再び火が付いた。

今日、100年前の禁酒運動に匹敵するのが、セクハラや迷惑行為、さらにはレイプに至るまで、女性蔑視とその現れであるいじめや差別、暴力の告発糾弾である。アメリカでセクハラが問題行動として公の場で話され、対策が検討されるようになったのは、Wikipediaによると1970年代初期のことらしい。Sexual harassment という用語もそのころに確定したらしい。

法的には、1964年に制定された Civil Rights Act(公民権法)のTitle VII (第7項)に定められている性別、人種、肌の色、出身国、および宗教による雇用上の差別を禁止する国レベルの法律が元になっている。この法律の執行機関は Equal Employment Opportunity Commission (雇用の機会均等委員会)であり、関連の苦情はここに持ち込まれ、そこで解決できない問題は、裁判所に持ち込まれる。職場でのセクハラは性別に基づく差別に該当する違法行為であり、そのような行為を放置している会社は雇用の機会均等法に違反するという判決がアメリカ最高裁で下されたのは 1986年だった。


雇用の機会均等法に違反したと判断された職場では、損害賠償という形で決着が付けられる場合が多い。社員に告発された会社が示談で決着をつけて口止め料を払い、容疑を否定する場合も多い。加害者は必ずしも解雇されるとは限らないが、会社はセクハラ防止対策や研修を実施するように要求される。

パワハラ、特に性的関係を強要するセクハラは強者の弱者に対する陰湿で冷血ないじめであるが、被害者は職を失うことを恐れていじめに耐える場合も少なくない。悪評が立つのを恐れて、黙って職を離れる人もいる。最初は仰天してどうしていいか分からなかったという被害者も少なくない。自分に落ち度があったのではないかと悩んだという被害者もいる。

職場でのレイプに限って見ると、特に狙われやすいのは、人のいなくなった夜に一人でビルの掃除をする女性や人影のまばらな広い農場で農作業をする女性である。不法移民の場合は、強制送還されるのを恐れて、しかるべきところに訴えることもできない。それをいいことに、清掃会社の男性上司や同僚がセクハラ/レイプの常習犯だったりする。PBSのFrontlineという番組がその問題のドキュメンタリーを報道した。この報道がきっかけとなって、カリフォルニア州では清掃会社にセクハラ研修が義務付けられ、女性は護身術の訓練も受けられる。

昔から、上司の覚えがめでたい女性は、上司と特別の関係にあると見られた。魚心あれば水心の世界である。しかし、それが許容されてきた時代は終わった。特に、男女共学と雇用の機会均等が当たり前になった若い世代にはもう通用しなくなった。

歴史を振り返れば、家族の外での男女の関わりに、勉強仲間とか仕事仲間とかいう関係が加わったのは最近のことだ。以前はセクハラやわいせつなどの問題を、男女が同席する機会を厳しく制限することによって避けてきた。イスラム諸国には今でもその伝統を維持しているところが少なくない。日本では、電車の中での痴漢防止に女性専用の車両が用意されている。この問題にみられる世代間の差から判断すると、男女隔離の社会で育った人間は、近くにいる異性を性的な対象と見て性的衝動のままに行動することは許されないという社会規範が身についていないかのようだ。

日経新聞の「米社会揺らしたセクハラ問題」に加害者として名前が挙がっている著名人10人のうち、2018年1月現在、45歳以下は、トラビス・カラニック(41)のみだ。しかも、彼は会社の経営者として、セクハラや女性差別が許される職場環境を放任していた責任を問われたのであって、直接の加害者ではなかった(被害者Susan Fowlerのブログを参照)。


いずれにしても、セクハラやレイプは、その他のいじめ同様、その犯罪性が強く認識されてこなかった厄介な現象である。しかし、今、その認識が法律の上だけでなく、日常生活においても根本的に変わろうとしている。#MeToo(私も)運動は、もう泣き寝入りはしないという決意の表明である。しかし、この問題が厄介な問題であることには変わりはない。既に、セクハラを告発糾弾する側の偽善や欺瞞、行き過ぎを批判する声が上がっている。そんな男たちの習性を逆手にとってハニートラップを仕掛ける女たちもいるからことは単純ではない。

トランプ大統領の誕生で一層明らかになったことは、トランプ/共和党の支持者の主体が白人プロテスタント男性であり、彼らが他のグループ(女性、有色人種、非プロテスタント)の台頭を快く思っていないということであった。トランプは、白人女性票の53%を取ったということだが、トランプの女性蔑視の発言と態度は多くの女性にとって、大統領候補にあるまじき、許せない行為だったから、トランプとその支持者たちは、女性蔑視を支える勢力の具体的な「顔」となった。

女性蔑視の具体的な「顔」に対する戦いは、実はトランプが共和党の大統領候補に選ばれることが明らかになっていた2016年の7月に、共和党のプロパガンダ・メディアとして築かれたFox Newsの内部で始まっていた(How Fox News Women Took Down Roger Ailes:「ロジャー・エイルズを葬った Fox News の女性陣」を参照)。Fox Newsは南部戦略で確立した共和党の支持層(低学歴白人男性プロテスタント)を煽り迎合する番組作りをしてきた。女性アンカーやタレントには、そのような視聴者に性的アピールを持つ、金髪、白人、大きな胸、すらりと伸びた足などが目立つような女性が起用された。対象視聴者にアピールすると想定された内容は、実はトップのロジャー・エイルズをはじめFox News幹部の好みと体質を反映したものだった。つまり、Fox Newsはトップのロジャー・エイルズの体質を反映して、女性蔑視とセクハラが当たり前の世界になっていたのある。

ロジャー・エイルズはトランプの古くからの友人でありアドバイザーでもあった。「類は友を呼ぶ」の格言どおり、トランプはエイルズに勝るとも劣らないセクハラの過去を持っていただけでなく、ヒラリー・クリントンに対する攻撃に女性蔑視の発言で支持層を煽った。そこまで露骨にやられたら、女性としては笑って済ませるわけにはいかない。非白人に対する態度も同様に露骨で、マイノリティや女性の台頭をこころよく思わない白人男性層を煽る狙いは誰の目にも明らかであった。


2017年12月12日に行われたアラバマ州での特別選挙では、共和党の上院議員候補、ロイ・ムア(Roy Moore)が検事補だった32歳ごろ(約40年前)に見せた少女ハンティングと迷惑行為、わいせつ行為等を暴露した複数の女性の告白記事が出て、大騒ぎになった。中には当時14歳だったという女性の告白も含まれていた(アラバマ州法では16歳未満の子供に手を出した場合、つまり、性的関係を持った、あるいは持とうとした場合、本人や親の同意があってもレイプと見なされる。)

ロイ・ムアは、憲法に規定されている政教分離の原則を物ともせずに、自分の勤める裁判所にキリスト教の十戒を刻んだ碑を持ち込んで、敬虔なキリスト教徒というイメージを売り物にしてきた。しかし、精神的な未熟さと歪みと偽善を示唆する少女ハンティングの過去を暴露され、そのイメージに大きな傷が付いた。汚職問題にも関わらず白人プロテスタントに取り入って政権を維持してきた共和党だったが、ここに来て、敬虔なキリスト教徒というイメージを売り物にしてきた政治家が、敬虔から程遠い、俗物以下の人物でしかないことを多くの有権者に印象付けることとなった。敬虔なキリスト教徒として売り出した前知事が同じく女性問題で辞職を余儀なくされた記憶もまだ消えていない。

アラバマ州が大きく共和党に傾いてから久しい。ロイ・ムアのスキャンダルが暴露されたとき、これでもアラバマ州の選挙民は共和党を選ぶのかと馬鹿にされたが、2017年12月12日の選挙で民主党のダグ・ジョーンズが勝ってようやく汚名を返上した。40年前のロイ・ムアの行いを告発した9人の女性たちは、一人を除いて、みんな共和党/トランプに投票していたというのも面白い。当時14歳だった被害者は、あんな男を上院議員にしていいのかという思いで、長年くすぶっていた憤りを告白したということである。彼女たちはトランプの過去の女性問題はすべてフェイク・ニュースだと信じてトランプに投票したのだろうか。自分の体験から類推すれば、それがフェイク・ニュースだと言われてもそのまま信じたりしないのが健全な反応だと思うが、アメリカの選挙民は簡単に騙されるようだ。

長年蓄積されたきた洗脳やプロパガンダのテクニックを利用すれば、一般の選挙民を扇動するのは簡単なようだ。洗脳・プロパガンダ・デマゴーグのやり方を知っていることが有能な選挙参謀の条件であろう。トランプと共和党が軽蔑される理由でも書いたが、過去半世紀のアメリカにおける選挙を見る限り、この分野では共和党に軍配が上がる。アメリカの選挙民は共和党の印象操作やおとり宣伝に引っかかって共和党を選び、数年して騙されたことに気が付いて民主党に切り替えるというパターンを繰り返しているように見える。戦前にフランクリン・ルーズベルト大統領(民主党)が長期政権を維持しいていたときは、共産主義者とユダヤ人と中国人とプロテスタント宣教師たちがこの分野で活躍し、アメリカ人を反日・排日運動で煽り、残虐卑劣な日本人を皆殺しにしろというところまで洗脳して、戦争に駆り出した(江崎道郎氏の研究を参照)。


共和党がニクソン大統領時代に、白人、特に南部の低学歴白人男性の経済的な不安と白人天国だった時代へのノスタルジアを煽ることによって彼らの支持を確保するという方針(南部作戦と呼ばれる)で成功して以来、アメリカでは、支持政党の違いが人種、収入、学歴、性別、年齢、宗教などを軸として米国を二分するようになった。45歳以上と以下の投票行動を比較すると、その差は歴然としている。若年層の2/3が民主党支持であるのに対し、高齢層は共和党支持が多数派である。黒人は圧倒的に民主党支持である。黒人女性の民主党支持は100%に近い。一方、白人の原理主義系プロテスタントは圧倒的に共和党支持で、2017年のアラバマ州での上院議員選挙では、これも90%前後である。

共和党の政策を見れば、共和党を支持する低学歴低収入の白人男性も含め、99%の大衆が損をするような制度や法律ばかりを作っているが、レッドネックたちにとっては、そんな小難しいことより、自分たちが失いつつある既得権のために気炎を上げることの方が重要なのであろう。とはいえ、自分たちの問題が一向に解決されないことの苛立ちが、ついに、共和党主流派の拒否と露骨な白人至上主義的言動で大衆を煽るトランプの人気となって現れたと見ることもできる。

1981年から2002年に制定された法律や政策を調べたプリンストン大学とノースウエスタン大学の研究者が出した研究論文の結論は、アメリカは少数独裁政治である。つまり一般大衆の利益を度外視して、お金と組織力のある少数グループの利益になるような法律や政策を作ってきたという。
アメリカの真の支配者は、ほんの一握りの大富豪(大富豪のトップ1%とも0.1%ともいわれている)と国際金融石油軍産共同体であることは周知のことであるが、多数決が原則である選挙に基づく民主主義政治が行われているという幻想を大衆に信じさせ、味方につけるには、それなりの工夫が必要だ。1960年代の後半に共和党のニクソン大統領の当選を可能にしたSouthern Strategy(南部作戦:人種差別を煽る作戦ーHow the Southern Strategy Made Donald Trump PossibleHow Donald Trump put an end to the GOP's Southern strategy などを参照)が以後の共和党の作戦の柱となり、それをより露骨に表現しているのがトランプである。 

アメリカの過去半世紀の大統領選挙を振り返ると、ケネディー/ジョンソン(民主)、ニクソン/フォード(共和)、カーター(民主)、レーガン(共和)、ブッシュ(シニア)(共和)、クリントン(民主)、ブッシュ(ジュニア)(共和)、オバマ(民主)と、共和党と民主党がほぼ交互に政権を獲得してきた。ところが、オバマ大統領のあと、民主党候補に勝てそうな共和党の候補が見つからず、共和党を当てにしてきた真の支配者たちが頭を悩ましていたところに、突如トランプ旋風が吹いたのである。トランプは、白人プロテスタント男性の不安と不満、奴隷解放や女性解放、人種や宗教に基づく差別の撤廃などが確立される前に享受していた地位が失われつつあることに対する白人プロテスタント男性の不安と不満を煽り、彼らを取り込んだのである。つまり、トランプは南部作戦を引き継いだのだ。しかも、以前にも増して露骨な言動で。それには、Steve Bannon の率いるAlt Right メディアのBreitbart も大いに役に立った。

もう男には任せておけないでも書いたが、トランプとその支持者たちの露骨な差別主義的言動に最も憤慨したのが女性たちであった。

 
バージニア州の州議員選挙に結実した女性の草の根運動
11月6日の地方選挙で、あのウーマンズ・マーチのエネルギーが一時的なものではなかったことがようやくはっきりしてきたのである。民主党の草の根運動が有効であったこと、地方、つまり、市町村や州レベルの選挙で勝つことから始めるという戦術が有効であったことを誰もが実感した。何よりも明らかになったことは、その主役が女性であったことである。11月6日の地方選挙で初当選した政治家の大多数(11/15)が選挙に出たのは初めてという女性たちである。議席を失った共和党のバージニア州議会議員(すべて男)と彼らの議席を奪った初当選の民主党議員を比べれば一目瞭然である。

THE RACHEL MADDOW SHOW: Democratic wave brings new faces into politicsより

象徴的だったのは、ニュージャージー州の地方選挙だった。共和党の John Carman という郡政府官吏(ニュージャージー州ではこのレベルの役人も選挙で決めるとのこと)が、ウーマンズ・マーチの日に  Facebook に書いたコメントWill the women's protest be over in time for them to cook dinner?」(マーチは女たちが晩御飯を作るのに間に合う時刻に終わるのか)に腹を立てて、対抗馬として民主党から出た黒人女性、Ashley Bennett が選挙に勝ったことであろう。

2018年3月13日に行われたペンシルバニア州の第18下院議員選挙区(共和党が圧倒的に強かった地区)での特別選挙での民主党の勝利は、トランプ/共和党の支持が日増しに低下していることを示している。ここでは高学歴の白人女性が共和党離れを起こしたと言われている。


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Seneca Falls and The Declaration of Rights and Sentiments




Elizabeth Cady Stanton and Lucretia Mott, two American activists in the movement to abolish slavery called together the first conference to address Women's rights and issues in Seneca Falls, New York, in 1848. Part of the reason for doing so had been that Mott had been refused permission to speak at the world anti-slavery convention in London, even though she had been an official delegate. Applying the analysis of human freedom developed in the Abolitionist movement, Stanton and others began the public career of modern feminist analysis

The Declaration of the Seneca Falls Convention, using the model of the US Declaration of Independence, forthrightly demanded that the rights of women as right-bearing individuals be acknowledged and respected by society. It was signed by sixty-eight women and thirty-two men. 



The Declaration of Sentiments



When, in the course of human events, it becomes necessary for one portion of the family of man to assume among the people of the earth a position different from that which they have hitherto occupied, but one to which the laws of nature and of nature's god entitle them, a decent respect to the opinions of mankind requires that they should declare the causes that impel them to such a course.



We hold these truths to be self-evident: that all men and women are created equal; that they are endowed by their Creator with certain inalienable rights; that among these are life, liberty, and the pursuit of happiness; that to secure these rights governments are instituted, deriving their just powers from the consent of the governed. Whenever any form of government becomes destructive of these ends, it is the right of those who suffer from it to refuse allegiance to it, and to insist upon the institution of a new government, laying its foundation on such principles, and organizing its powers in such form, as to them shall seem most likely to effect their safety and happiness. Prudence, indeed, will dictate that governments long established should not be changed for light and transient causes; and accordingly all experience hath shown that mankind are more disposed to suffer. while evils are sufferable, than to right themselves by abolishing the forms to which they are accustomed. But when a long train of abuses and usurpations, pursuing invariably the same object, evinces a design to reduce them under absolute despotism, it is their duty to throw off such government, and to provide new guards for their future security. Such has been the patient sufferance of the women under this government, and such is now the necessity which constrains them to demand the equal station to which they are entitled. The history of mankind is a history of repeated injuries and usurpations on the part of man toward woman, having in direct object the establishment of an absolute tyranny over her. To prove this, let facts be submitted to a candid world.



The history of mankind is a history of repeated injuries and usurpations on the part of man toward woman, having in direct object the establishment of an absolute tyrranny over her. To prove this, let facts be submitted to a candid world.



He has never permitted her to exercise her inalienable right to the elective franchise.



He has compelled her to submit to laws, in the formation of which she had no voice.



He has withheld from her rights which are given to the most ignorant and degraded men--both natives and foreigners.



Having deprived her of this first right of a citizen, the elective franchise, thereby leaving her without representation in the halls of legislation, he has oppressed her on all sides.



He has made her, if married, in the eye of the law, civilly dead.



He has taken from her all right in property, even to the wages she earns.



He has made her, morally, an irresponsible being, as she can commit many crimes with impunity, provided they be done in the presence of her husband. In the covenant of marriage, she is compelled to promise obedience to her husband, he becoming, to all intents and purposes, her master--the law giving him power to deprive her of her liberty, and to administer chastisement.



He has so framed the laws of divorce, as to what shall be the proper causes, and in case of separation, to whom the guardianship of the children shall be given, as to be wholly regardles of the happiness of women--the law, in all cases, going upon a flase supposition of the supremacy of man, and giving all power into his hands.



After depriving her of all rights as a married woman, if single, and the owner of property, he has taxed her to support a government which recognizes her only when her property can be made profitable to it.



He has monopolized nearly all the profitable employments, and from those she is permitted to follow, she receives but a scanty remuneration. He closes against her all the avenues to wealth and distinction which he considers most honorable to himself. As a teacher of theology, medicine, or law, she is not known.



He has denied her the facilities for obtaining a thorough education, all colleges being closed against her.



He allows her in church, as well as state, but a subordinate position, claiming apostolic authority for her exclusion from the ministry, and, with some exceptions, from any public participation in the affairs of the church.



He has created a false public sentiment by giving to the world a different code of morals for men and women, by which moral delinquencies which exclude women from society, are not only tolerated, but deemed of little account in man.



He has usurped the prerogative of Jehovah himself, claiming it as his right to assign for her a sphere of action, when that belongs to her conscience and to her God.



He has endeavored, in every way that he could, to destroy her confidence in her own powers, to lessen her self-respect, and to make her willing to lead a dependent and abject life.



Now, in view of this entire disfranchisement of one-half the people of this country, their social and religious degradation--in view of the unjust laws above mentioned, and because women do feel themselves aggrieved, oppressed, and fraudulently deprived of their most sacred rights, we insist that they have immediate admission to all the rights and privileges which belong to them as citizens of the United States.

from Elizabeth Cady Stanton, A History of Woman Suffrage , vol. 1 (Rochester, N.Y.: Fowler and Wells, 1889), pages 70-71.

セネカフォールズ市と権利および所感の宣言

所感の宣言、セネカホール市での大会にて、1848




エリザベス・キャディ・スタントン(Elizabeth Cady Stanton とルクレチア・モット(Lucretia Mott)という、奴隷解放運動で活躍していた二人のアメリカ人が、女性の権利と問題を話すための初めての大会を1848年にニューヨーク州のセネカホールズ市で開いた。その理由の一部は、ロンドンでの世界反奴隷大会にアメリカ代表として派遣されていたにもかかわらず、モットが演説をしようとしたら、それが拒否されたことにある。奴隷解放運動の中で育まれた人間の自由に関する分析を適用して、スタントンらは現代のフェミニスト分析を一般に広める活動を開始したのである。

セネカホールズ市での大会における宣言は、アメリカの独立宣言をモデルにして、権利を保有する個人としての女性の権利を社会が認めて尊重することを真正面から要求した。68人の女性と32人の男性がそれに署名した。



所感の宣言



歴史の流れにおいて、一部の人々が世の中で、それまでとは異なる地位、自然の法と自然神の法が権利として与える地位を占めることが必要になったとき、そうせざるを得なくなった理由を宣言するのが世論に対する真っ当な敬意の表現であろう。





我々は以下の真実を自明のことと見なす。すべての男女は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利が与えられている。これらの権利を確保するために政府が設立され、政府の権力の正当性は統治される者の合意に由来する。政府がこれらの目的に反するようになったとき、そのような政府に対する忠誠を拒否し、新しい政府の設立を主張すること、安全と幸福をもたらす可能性が高いと思われるような原則に基づき、そのような形式の権力を組織することは、それによって苦しめられている者の権利である。確かに、慎重にことを進めるには、長期にわたり確立されてきた政府を軽々しい一時的な理由で変えるべきではないし、現実に、これまでの経験を見れば、人類は、自ら間違いを正して慣れ親しんだ統治形式を廃止するよりは、苦しみに耐えられるだけ耐える傾向にある。しかし、長く続いてきた権力の乱用や権利の侵害、それがずっと同じ目的で追求されてきたことから見て、絶対専制支配による抑圧という意図が明らかであるとき、このような政府を捨て去り、将来の安全を守る新しい番人を提供するのが人々の義務である。これが、この政府の下で女性が耐え忍んできた苦しみであり、これが今、女性に平等を要求するように迫っている状況であり、必要とされていることなのである。人類の歴史は、男による女の迫害と権利侵害の繰り返しの歴史であり,女に対する絶対的圧制の確立を直接の目的としてきた。これを証明するために、忌憚ない世界の人々に向けて以下の事実を提示することとする。



人類の歴史は,男による女の迫害と権利侵害の繰り返しの歴史であり,女に対する絶対的圧制の確立を直接の目的としてきた。これを証明するために、忌憚ない世界の人々に向けて以下の事実を提示することとする。



男は不可侵の権利である選挙権を女が行使することを許したことがない。



男は女に法に従うことを強要してきたが、その制定過程には女の声が反映されていない。



男には、馬鹿でもチョンでも、アメリカ生まれでも外国生まれでも与えられている権利を、男は女から取り上げてきた。



第一市民権である選挙権を拒むことによって、しかして、立法府に代表を送ることができないようにすることによって、男はあらゆる面で女を虐げてきた。



男は結婚した女を、法律上は、市民としては死人の扱いをしてきた。



男は女からすべての財産権を奪ってきた。女が稼いだ給与に対する権利さえ奪ってきた。



男は女を倫理的に無責任な存在にしてきた。女は夫の前で犯した犯罪の罪を問われない。婚姻の決まりでは、女は夫に従うことを強制され、夫は実質上、妻の支配者になる。法律は夫に妻の権利を剥奪して、妻を折檻する権力を与えている。





離婚の適切な原因と、離婚した場合に、子供の親権が誰に与えられるべきかについて、男は離婚法の枠組みを女の幸福がまったく無視されるように定め、すべての場合について、男が優れているという誤った前提の元、すべての権力を男に与えてきた。





既婚女性の権利をすべて剥奪した上で、独身女性については、財産の所有者の場合、政府は、女の財産から利益を得ることができるときだけ女の存在を認め、政府を支えるための税金を取り立ててきた。



男はお金になる職業をほとんどすべて独占してきた。また、女が就くことが許されてきた職業では、女はわずかな報酬しか受け取っていない。男は富や名声へのすべての道を閉ざし、最も尊敬される職業を自分のために独占してきた。神学、医学、法律などの教師として知られている女はいない。



男は十分な教育を受けるための施設から女を締め出してきた。すべての大学が女に対して門戸を閉じている。



男は女が教会に入ることを許しているが、国の場合と同様、従属的な地位しか与えていない。使徒の伝統的権威を理由に女を聖職から締め出し、例外はあるものの、教会の行事に女が公に参加できないようにしている。



男と女に異なった倫理規範を課すことによって、間違った一般感情を醸成してきた。そのことによって、女を社会から締め出すという倫理的不正行為は、許容されてきただけでなく、男には取るに足らないことと見なされてきた。



女の行動範囲を定める権利は男の権利であると主張することによって、男は神の特権を奪ってきた。その権利は女の良心と女の信ずる神に属する。



男はあらゆる方法で女が自分の力に自信を持てないようにし、自尊心を弱め、女に隷属的で惨めな人生を進んで受け入れさせるように努めてきた。



わが国の国民の半数に対するこのような公民権の完全な剥奪、社会的および宗教的な差別待遇、つまり、上記したさまざまの不公平な法律に鑑みて、また、女自身が虐げられ、圧迫され、最も尊い犯すべからざる権利を不正に剥奪されていると感じているという理由から、我々は、合衆国の国民に帰属するすべての権利と特権を直ちに合衆国の国民である女に適用するよう断固として要求する



出典: Elizabeth Cady Stanton, A History of Woman Suffrage , vol. 1 (Rochester, N.Y.: Fowler and Wells, 1889), pages 70-71.