2020/06/21

トランプの出鼻をくじいた子供たち

トランプ大統領が三か月の自粛の後に選挙に向けた集会を再開する時と場所として、6月19日、オクラホマ州のタルサ市を選んだのは、わざとだったのか、無知・無神経だったからなのかどうかは知らないが、これは黒人の神経を逆なでする選択としては、最高の選択だった。

6月19日は、Juneteenthと言う奴隷解放を祝う記念日である。しかも、それはリンカーン大統領が1863年1月1日に奴隷解放宣言を出してから2年以上経って、ようやくテキサス州を制圧した北軍が1865年6月19日に実施を宣言することができたといういわく付きの記念日なのだ。

しかも、オクラホマ州タルサ市は、1921年に黒人の高級住宅街や学校、教会、病院、商業施設などがあったグリーンウッド地区が、武装した白人暴徒に襲撃・焼き討ちされ、多数の黒人が虐殺され、一万人以上が家を失った場所なのだ(ウィキペディアのタルサ人種虐殺を参照)。

結局トランプは1週間前に、集会を翌日の20日に変更せざるを得なかった。パンデミックの悪化に歯止めがかからないどころか急上昇中のオクラホマ州での3密の集会である、パンデミックの数字が上がっているのは、検査を増やしたせいだと言って、検査を減らすように指示を出したトランプは、もう、パンデミックは終わったと宣言して集会を準備させた。トランプのサポーターはトランプに倣って、マスクもしない。そんな連中が大挙して街に押しかけてきたらたまらないと思う住民の心配をよそに、トランプは19000席のアリーナを埋めて、気炎を上げる皮算用をしていた。

ところが、蓋を開けてみると、下の写真のように2階の座席がほとんど埋まっていない。
https://youtu.be/Gj5T3lAaKTU

その一因を説明しているのがニューヨークタイムズ紙の下記の題の記事である。

TikTok Teens and K-Pop Stans Say They Sank Trump Rally(TikTokのティーンズとKポップのファンが自分たちがトランプの集会を沈めたと主張)
Did a successful prank inflate attendance expectations for President Trump’s rally in Tulsa, Okla.?(タルサ市におけるトランプ大統領の集会で参加者数の予想が実際より膨らむように仕組んだいたずらが成功した?)

何をやったかというと、集会に参加するためのチケット(無料)を予約するようにTikTokというSNSを使って呼びかけた人がいたのだ。もちろんチケットだけ予約して、実際には参加しないところが味噌。それが、瞬く間に70万の「いいね!」と200万回を超える閲覧を達成したのだそうだ。TikTokから他のSNSにもすぐに拡散した。しかも、拡散のメッセージや投稿が発覚しないように、みんなすぐに削除していたのだとか。ちなみに、ティーンズが大多数だったのはTikTokというSNSのユーザーはほとんどが若い人であることと、KポップのBTS(防弾少年団)が拡散に尽力したかららしい。