2013/02/19

私のmt DNAと日本人とアメリカ原住民

ナショナル・ジオグラフィックのDNAプロジェクトでY-DNAとミトコンドリアのDNAを解析して祖先がどこから来たかを教えてくれるというので、参加してみた(女性の場合はmt-DNAだけ)。それで送られてきた結果が次の地図である。移動経路に日本が入っていない!そんなバカな。私の祖先は父方も母方も祖父母の代で明治に北海道の日高地方に入植した、いわばどこの馬の骨とも分からない部類の人間で、もちろん家系図などどいうものは伝わっていないけど、シベリア人やアメリカ原住民と祖先が共通ということはあっても、彼らが祖先にいたなどということはありえない。母の話によると、母の母(私の祖母)の実家は福井、富山あたりの薬屋だったと聞いていた。100ドルも取っといて(一部はDNAプロジェクトへの寄付金と書いてはあったけど)、それはないでしょうスペンサー・ウェルズ先生と頭に来たけれども、気を取り直してさらに読み進んでみた。

 次のようにハプログループDに属するとある。その下の7組の数字は私の属するサブハプログループを示すらしい。それでさらに詳しく日本のmt-DNAの文献を調べてみる。
 それで見つけたのが2004年の Mitochondrial Genome Variation in Eastern Asia and the Peopling of Japan という文献。ハプログループDのところを読むと、アメリカ原住民はD1とD2、日本人にはD4、D5、D6が見られ、頻度も高いとある。さらに読むと、16189というのがD5の分岐を定義しているとあるから、私はサブハプログループD5に属するらしい。その先の区分は、たまたま誰のDNAが解析されているかによって見えたり見えなかったりという感じなのでこの文献が書かれた段階ではあまり意味がなさそうだ。こういったことは既に2002年に分かっていたことだから、ナショナル・ジオグラフィックの地図は10年以上昔のデータに頼っているということになる。それはないでしょってまた言いたくなる。

さて、日本におけるD5というのがどういうグループなのかは、その分布を見なければわからない。D全体は、中央アジアと日本を含む東アジアのmt-DNAでは30~40%を占めているもっとも多く見られるハプログループであるらしい。その中でD5は南方系、D4は北方系でアイヌや沖縄人でも頻度が高いとある。さらに読み進むと、16189, 16223, 16362 がD4とD5の両方で見られることがあるという。つまり、D5だと確定できないようなので、ここまで来るともうお手上げである。


ともかく、この方の膨大な研究の中の「mtDNA亜型からみた系統関係と拡散経路」を引用させてもらうと、D5とD4は次のような位置にあるらしい。でもD5がこんなにD4から離れて孤立していてもいいのかという疑問も出てくる。

もう1つ図を引用させてもらうと、日本ではD5とD4を両方合わせると37%を超えている。しかし、D5はD4に比べてかなりの少数派であるらしい。満州のD5は比較的頻度が高いのに、D5が南方という根拠は?福井富山は裏日本だから、満州との関係を考えた方がいいのか?

いずれにしても、私の母方の遠い祖先の親戚の中には(別々の道を歩み出したのは3万5千年前らしいけど)、シベリアからアラスカに渡りアメリカ大陸を南下したのか、黒潮に乗ってアメリカの西海岸に渡ったのかは分からないけれども、太平洋をまたに掛けて移動した冒険精神に富んだ女性がいたことになる。そして、私もそのDNAを受け継いだということになる。(えっ。そんな冒険はハプログループDに限ったことじゃない?)