アメリカが仕掛けた米中貿易戦争の真っただ中、2019年7月1日にアメリカの経済学者、Panos MourdoukoutasがForbes誌にAmerica is trying to turn China into another Japan(アメリカは日本にしたことをチャイナにもしようとしている)という論説を書いている。「チャイナは日本ではない」が結論であるが、アメリカが日本に何をしたのかの説明を読むと、アメリカがんばれ、チャイナをやっつけろなどと無邪気に応援する気にならない。日本は今でもアメリカ=グローバル金融資本にやられっぱなしなのだから。 Mourdoukoutas 先生の話では、それは、Japan as number one とか言われて、日本が高度成長の絶頂にあった1980年代、レーガン政権のときに始まる。
1983年の11月、レーガン政権は日本の資本市場の開放と円の為替レートの引き上げについての話し合いを開始した。その努力は1985年9月のプラザ合意に導かれた。それと並行して、1985年のはじめに、市場志向型分野に影響の大きい交渉が2国間で開かれた。この話し合いは4つの特定分野(エレクトロニクス、医療機器、通信、薬品)の貿易摩擦をカバーした。1年後の1986年に両国はStructural Impediments Initiative (日米構造問題協議)の準備に向けたStructural Economic Dialogue(日米構造経済対話)の設立に合意し、特定製品の貿易問題を定期的に(6か月間)取り上げた。1988年に、米国議会はOmnibus Trade and Competitiveness Act(包括通商競争力法)を採択し、実質的に日米通商をワシントンのコントロール下に置いた。結局、日本はアメリカの要求に屈服する以外に選択肢はなかった。(筆者訳)
緊縮財政(小さな政府)について一つ知られていることは、それが、ワシントン・コンセンサスの一部であり、アメリカ(アメリカの金融界)がIMFと世界銀行を使って援助という名目のもと、開発途上国を食い物にするときに強要してきた政策の一つであるということだ。財政破綻して救済を受ける国に贅沢は許されないというのはいいとして、上下水道も、電気ガス、道路、通信、教育、等々、経済の発展に必要なインフラ投資や社会投資もだめだというのだ。そのような事業は民営化させて、その国の福祉ではなく私的な利益を追求するグローバル投資家の餌食にさせようというのである。もちろん、表向きの理由は、民間の活力を利用するとか、公営より民営の方が効率がいいからとかいうのがよく聞く理由である。誰のために効率がいいのかというと、民間の利益のためというのが行間に隠された理由である。公共事業なら利益や配当をよこせという投資家はお呼びではない。民営になると投資家の取り分だけ余計に料金を支払わされることになるのは小学生でもわかる構造である。それにも関わらず、アメリカのごり押し、あるいはいい加減なプロパガンダを許した世界というのはどうなっているのか、そして、それが批判されるようになって久しいというのに、今でも日本はワシントンコンセンサスの路線に沿った政策を取らされているのはなぜか、それが今早急に解明されなければならない大きな謎であろう。搾取という観点から見ても、黄金の卵を産む鶏を弱体化すれば取れる卵が減るのだから得策ではない。もっとも、略奪による富の蓄積を常套手段としてきた旧植民地宗主国はそのマインドセットから抜け出すことができず、今や宿主を殺してしまう寄生虫に例えられる存在となっていることを忘れてはいけない(Killing the Host - the book | Michael Hudson)
。
No left-wing party, no socialist, anarchist or foreign nationalist leader anywhere in the world could have achieved what he is doing to break up the American Empire. The Deep State is reacting with shock at how this right-wing real estate grifter has been able to drive other countries to defend themselves by dismantling the U.S.-centered world order. (左翼政党も、社会主義者も、アナーキストも、外国の国粋主義リーダーも、世界中のどこを見渡しても、アメリカ帝国の解体に向けてトランプがやっていることを達成できた者はいない。この右翼の不動産屋ペテン師が、他の国々を、アメリカ中心の世界秩序を解体することによって自国を守るように駆り立てることができたことに、ディープ・ステートはショックを受けている。)
現在国際的な銀行間の送金はベルギーに本部のあるSWIFT (Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)を介して行われている。この機構の利用についてはアメリカが絶対的な発言権を持っていて、現在イランに対する経済制裁の一環として、この機構をイランとの貿易に使うことをアメリカは禁止しているが、アメリカのベネズエラに対する介入、ロシアやチャイナに対する締め付け、ドイツがロシアから天然ガスを輸入していることへの非難などを考慮すると、いつだれがアメリカの逆鱗に触れてSWIFTから締め出されるか知れたものではない。
ロシアとチャイナの間では既にSWIFTに替わる、人民元とルーブルを使うシステムが構築されていて、2019年から運用されている。インドと日本の間ではかなり前からSWIFTを介さない円建ての送金システムが運用されている。そして今、欧州でも英、仏、独が主導してINSTEX — Instrument in Support of Trade Exchanges (貿易取引支援機関) という通貨の交換を伴わないシステムを作り、とりあえずはSWIFTを通さずにイランとの貿易ができるようにしてしまった。今は制裁対象外の医薬品や食品などのいわゆる人道物資の貿易にしか使っていないようだが、2019年の1月に設立され、6月には既に稼働していると発表された。もちろんトランプ政権は、けしからん、もともと医薬品や食品などの人道物資の貿易は制裁対象ではないのだから、SWIFTを迂回する必要はないはずだと息巻いているが、今のところINSTEX加盟国に対する制裁は発表していないもよう。
ヘッジズは、American Fascists: The Christian Right and the War On America (アメリカのファシスト:キリスト教右派がアメリカに挑む戦い)という本を2007年に出して、衰退し混迷するアメリカの中で政治的影響力を拡大しているファシスト勢力について警告している。キリスト教右派とは福音派キリスト教(evangelical christian)のことであるが、長老派(Presbyterian)の牧師の家で育ち、ハーバード大学の神学部で修士号を取ったヘッジズから見れば、それは拝金主義にキリスト教の衣を着せて、不運に打ちひしがれた人々を狙ってカルト的洗脳を行う似非キリスト教でしかない。その本質は、むき出しのナショナリズムと開かれた社会に対するヘイトを煽る危険な大衆運動であり、ファシズムの温床となっていると言う。
03:34 – そのあとに残るグローバルな真空はチャイナが埋めます。チャイナは既に経済的にも軍事的にも巨人となりつつあります。あるいは、多極世界になり、ロシア、チャイナ、インド、ブラジル、トルコ、南アフリカ、その他の数か国によって分割されるかもしれません。あるいは、歴史家アルフレッド・マッコイ(Alfred McCoy)が指摘したように、多国籍企業とNATOのような多国籍軍と、ダボス(Davos)やビルダバーグ(Bilderberg)で国際金融のリーダーを自称する人たちが超国家連合を築いて、国家や帝国に取って代わるようになるかもしれません。 [McCoy の: How America Will Collapse By 2025, を carolynbaker.net, April 17, 2013 で参照]
14:31 — 帝国が放つ全能のイメージは、腐った構造のもろさを隠します。帝国の維持費が本国の能力を超えるような帝国の拡張は、システムを脆弱にします。財政危機のときには特にそうです。帝国の管理に煩わされない国は、自国の繁栄と基本的な安全保障のために資源をもっと費やすことができます。帝国にはそのような選択肢はありません。税収が減少すれば、帝国は分裂し崩壊します。主権国家の内部ではほぼ有機的に出現する資金源が帝国にはないので、帝国は絶え間なく略奪と収益を漁ることで有名です。大西洋の奴隷貿易、ベルギーのコンゴにおけるゴムに対する強欲、英国のインドにおける麻薬ビジネス、第三帝国によるヨーロッパのレイプ、ソ連による東欧の搾取などがその例です。McCoyによると、「力の生態系は非常にデリケートなので、物事が本当にうまくいかなくなると、帝国はとんでもない速度で崩壊するのが常です。ポルトガルはたった1年で、ソ連は2年、フランスは8年、オットマンは11年、大英帝国は17年で崩壊しました。アメリカは、イラクを侵略した2003年から数えて、たった27年で崩壊してもおかしくありません。」 [出典: The Decline and Fall of the American Empire: Four Scenarios for
the End of the American Century by 2025, Dec. 6,
2017].
16:37 — 世界を席巻しているニヒリズムと怒りは、ゆがんだイデオロギーや中世的宗教的信仰から生まれたものではありません。これらの破壊的勢力のルーツは、現代化と消費者社会による社会的、宗教的伝統の破壊にあります。米国による政権転覆の悲惨な試みは、しばしばクーデターや戦争を通して、あるいは、少数の腐敗したグローバル大富豪に富を集中するだけの、ユートピア思想でしかない新自由主義イデオロギーを通して行われてきました。怒りは信用を無くしたエリートに向けられています。過去百年間にわたって行われた壮大な地球規模のソーシャル・エンジニアリングによって、Pankaj Mishraが「Age of Anger」に書いたように、何億人もの人々を説得して、何千年も続いてきた過去の世界を放棄し、時には軽蔑するよう仕向けました。そして、世俗的で、啓蒙され、文化的で、勇敢な現代人を作るというギャンブルをさせました。一握りのグローバル・エリートを除いて、それは見事に失敗しました。
17:59 – Frantz Fanonが「 The Wretched of the Earth(地球の汚物)」と呼んだ人々は、一貫性のあるイデオロギーも文化も剥ぎ取られ、過去から切り離されてしまいました。彼らは貧困に押しつぶされ、疎外され、希望を失い、恐怖におびえ、なにも感じることができなくなっています。大衆文化が彼らに提供するのは、けばけばしいもの、暴力、卑猥、ばかげたものです。彼らは、自分たちをさげすむ専門家集団が作る世界を破壊しようとする原始的な怒りに駆られて、現代化の力に立ち向かっているのです。
20:02 — すべてを剥奪された人々は、西洋からの真のメッセージ――我々はすべてを所有している。お前たちがそれを我々から取り上げようとしたら殺すぞ――を理解しています。西洋のエリートも攻撃されればされるほど、神話的な過去に、うぬぼれと頑固な無知に、「Make America great again」のような馬鹿げたスローガンで表現される超ナショナリズムの台頭に引きこもります。ムスリム教徒や不法移民労働者の悪魔化も、高まる国家の好戦的態度も、選挙結果を外国の介入のせいにしようとする試みも、不満の根本原因を隠すマスクとして使用されているのです。根本原因は深刻な社会的不平等であり、それは工業先進諸国ではアメリカが最悪なのです。
28:22 – 似たような民衆扇動家、例えばモディのような政治家が、インド、フィリピン、ポーランド、ハンガリー、その他の国々に登場しました。これは、人類の歴史を通して勃興し凋落していった69ほどの帝国の最後の段階でほとんど必ずと言っていいほど見られた特徴です。このような民衆扇動家や神話作りをする人々は、フォックスニューズその他の右翼系メディアで見かけますが、彼らは、真実をゆがめて歴史的、文化的な神話にしてしまいます。ラインホルド・ニーバーは彼らを西洋文明の取り澄ました狂信者(the bland fanatics of Western civilization)と呼びました。彼らは、まったく偶然の産物でしかない我々の文化を人類存在の最終的形態であり、規範であると思っています。無視されている現実は、現代化と植民地化の過程には、大量虐殺と気違い沙汰の大混乱が伴ったということです。資本家や植民地主義者の貪欲には、ミシュラが指摘したように、地理的空間が有限なこと、自然という資源が劣化可能なこと、エコシステムがもろく容易に破壊されることなどの制約要因に対する配慮が含まれたことはありませんでした。この地球規模での拡大と現代化を進めるにあたって、どんな形の無理強いも暴力もオフリミットではありませんでした。
37:59 – そう考えると、抵抗は道徳上、生存上不可避のものになります。抵抗には苦しみが伴います。自己犠牲が要求されます。破壊されることも厭いません。合理的ではありません。幸福の追求とは関係ありません。自由の追求なのです。抵抗するということは、失敗しても、抵抗に伴う内なる自由があることを受け入れることです。そして、これは私たちが知ることのできる唯一の自由と真の幸福かもしれません。悪に抵抗することは人が達成できる最高の業績です。それは、崇高な愛の表現です。それは十字架を背負うことです。そして、神学者、ジェームズ・コーン(James Cone)が指摘したように、背負っているその十字架の上で死ぬということを強く意識することです。抵抗する人々のほとんど– Sitting Bull, Emma Goldman, Malcom X, Martin Luther King –は、少なくとも、権力者の冷徹な計算上は、敗北しました。そして、コーンが指摘したように、抵抗の最後のそして多分最も重要な特性は、それが世界の価値体系を反転するということです。敗北から希望が湧き上がるのです。
“My colleagues might think it’s OK that the Russians offered
dirt on the Democratic candidate for president as part of what’s described as
the Russian government’s effort to help the Trump campaign. You might think
that’s OK.
“My colleagues might think it’s OK that when that was
offered to the son of the president, who had a pivotal role in the campaign,
that the president’s son did not call the FBI; he did not adamantly refuse that
foreign help – no, instead that son said that he would ‘love’ the help with the
Russians.
“You might think it’s OK that he took that meeting. You
might think it’s OK that Paul Manafort, the campaign chair, someone with great
experience running campaigns, also took that meeting. You might think it’s OK
that the president’s son-in-law also took that meeting. You might think it’s OK
that they concealed it from the public. You might think it’s OK that their only
disappointment after that meeting was that the dirt they received on Hillary
Clinton wasn’t better. You might think that’s OK.
“You might think it’s OK that when it was discovered, a year
later, that they then lied about that meeting and said that it was about
adoptions. You might think that it’s OK that it was reported that the president
helped dictate that lie. You might think that’s OK. I don’t.
“You might think it’s OK that the campaign chairman of a
presidential campaign would offer information about that campaign to a Russian
oligarch in exchange for money or debt forgiveness. You might think that’s OK,
I don’t.
“You might think it’s OK that the president himself called
on Russia to hack his opponent’s emails, if they were listening. You might
think it’s OK that later that day, in fact, the Russians attempted to hack a
server affiliated with that campaign. I don’t think that’s OK.
“You might think it’s OK that the president’s son-in-law
sought to establish a secret back channel of communication with the Russians
through a Russian diplomatic facility. I don’t think that’s OK.
“You might think it’s OK that an associate of the president
made direct contact with the GRU through Guccifer 2.0 and WikiLeaks, that is
considered a hostile intelligence agency. You might think it’s OK that a senior
campaign official was instructed to reach that associate and find out what that
hostile intelligence agency had to say in terms of dirt on his opponent.
“You might think it’s OK that the national security adviser
designate secretly conferred with the Russian ambassador about undermining U.S.
sanctions, and you might think it’s OK that he lied about it to the FBI.
“You might say that’s all OK, that’s just what you need to
do to win. But I don’t think it’s OK. I don’t think it’s OK. I think it’s
immoral, I think it’s unethical, I think it’s unpatriotic and, yes, I think
it’s corrupt – and evidence of collusion.”
“Now I have always said that the question of whether this
amounts to proof of conspiracy was another matter. Whether the special counsel
could prove beyond a reasonable doubt the proof of that crime would be up to
the special counsel, and I would accept his decision, and I do. He’s a good and
honorable man, and he is a good prosecutor.
“But I do not think that conduct, criminal or not, is OK.
And the day we do think that’s OK is the day we will look back and say that is
the day that America lost its way.”
“And I will tell you one more thing that is apropos of the
hearing today: I don’t think it’s OK that during a presidential campaign Mr.
Trump sought the Kremlin’s help to consummate a real estate deal in Moscow that
would make him a fortune – according to the special counsel, hundreds of
millions of dollars. I don’t think it’s OK to conceal it from the public. I
don’t think it’s OK that he advocated a new and more favorable policy towards
the Russians even as he was seeking the Russians’ help, the Kremlin’s help to
make money. I don’t think it’s OK that his attorney lied to our committee.
There is a different word for that than collusion, and it’s called ‘compromise.’